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【書評】エンデュランストレーニングの科学 −持久力向上のための理論と実践−①

 

エンデュランストレーニングの科学 −持久力向上のための理論と実践−

エンデュランストレーニングの科学 −持久力向上のための理論と実践−

  • 作者: Iñigo Mujika,長谷川博,中村大輔,安松幹展,桜井智野風,久保啓太郎,禰屋光,伊藤静夫,相澤勝治,鬼塚純玲,田中美吏,安藤創一,加藤晴康
  • 出版社/メーカー: ナップ
  • 発売日: 2015/08/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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レビューを見ると...

誤訳がひどいとのことで、散々なレビューが多い。内容はよさそうなので、誤訳に気をつけながら、読むことに。

304ページで内容のほとんどは文字ということで、すべてを読むには結構な時間がかかりそうなので....とりあえず気になるところだけでも読んでみる。

一番最初に気になっていた「第4章 トレーニング強度の配分」から読んでみることに。

僕は今まではトレーニングとはキツければキツいほど効果があると思っていた...

なのでいつもは、
「今日は30分しかないから、5km全力で走ろう」とか
「60分あるから、10kmのタイムトライアルをしよう」など、
自由時間から逆算して毎回タイムトライアルのように走っていた。
もちろん疲れていたり、だるい時は少し手を抜いて走っていたのだが、とにかく
苦しみながら走れば走るほど走力は上がるものだと思っていた。


ところが、最近ほかの人のブログを見ていると、ちょうど同じような時期に始めた人なのに
自分よりも成長のペースが速い(汗)

でも、普段の練習はジョグばかりで、走るペースは僕よりも全然ゆっくりだし。。。
いったい、どうなっているんだ??
という思いがありました。

なので、この章は大いに関心がありました。

 


エリートランナーの強度の配分の例


13人のニュージーランドアスリート:準備段階、1500m~マラソンの選手
LT値4mMに相当するトレーニングの割合が全体の4%程度
総トレーニングの平均心拍数65%VO2max相当

65%VO2maxとは...心拍数でいう75%程度。
僕で言うと心拍数139になるわけだ。先月の平均心拍数が152だったから、エリートランナーに比べると負荷が高すぎるということか。
LT値4mMに相当するトレーニングとは、だいたい10kmタイムトライアルに相当する強度。
僕の先月のトレーニング時間が約27時間だったから...1時間10分程度(汗)
10kmタイムトライアルでもやろうものならば、1回でほぼ終わってしまうじゃないか...

エリートマラソンランナー:フランス・ポルトガル、オリンピック予選の12週間前

マラソンペース以下の速度で走る割合78%
マラソンペースでのトレーニングの割合4%

いわゆる閾値走のトレーニングの割合18%。これは速い選手ほど割合が高い傾向。

 

男女のケニアのエリートランナー5km or 10km
LT値以下の割合85%。

 

ここでいうLT値以下とはマラソンペース以下ということかな。

 

スペインの長距離ランナー地区代表・国内代表レベルの選手を6か月以上調査。
LT1値以下の割合71%。

LT1値からLT2値のトレーニング(これは64%VO2maxに相当)の割合21%。LT2値以上のトレーニングの割合8%。

LT1値...これもマラソンペースってことかな。

マラソンペース以下での速度は約80%

エリートランナーのトレーニングの内訳をまとめるとマラソンペース以下でのトレーニングの割合は71から85%で残りを閾値走レベルと高強度インターバルレベルのトレーニングが占めているということになる。


この割合は今までの慣習による割合なのか?それとも結果に基づいた割合なのか?

という疑問に対して、80:20のトレーニング割合と閾値トレーニングを倍に増やして、その分、低強度トレーニングを減らし、67:33にした結果...


80:20の方がタイムトライアルでよい成績がでた。


逆に低強度を増やし場合はどうか?

男子ボート選手で今度は98:2と70:30を比較したところ、タイムトライアルとVO2maxでは

ほぼ同じ結果が、乳酸値2mMと4mMでのパワーは98:2の割合でトレーニングした方が優位との結果がでた。

しかし、だからといって98:2の方が速くなるとは言えないとの結論を出している。


つまり、低強度トレーニングと中強度以上のトレーニングは身体に対する適応が違うが

タイムトライアルに対しての効果としてはほぼ同等と考えられる。


しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、
「じゃあ、低強度と中強度以上のトレーニングの効果が同じだったら、低強度トレーニングだけしていればいいじゃん」ってこと。

長期的な研究ではないので、低強度トレーニングを何年も続けた場合の結果は分からない。

おそらく、低強度と中強度では鍛える部分(酵素活性など)が違うので、低強度トレーニングだけをしていると、頭打ちするんじゃないか。

まんべんなく鍛えないと途中で、低強度トレーニングと中強度以上トレーニングでの相乗効果(あれば)が薄れてくるのではないのか?

と危惧してしまう。


高強度はどの程度がいいの?

って疑問の答えに対する研究がコレ。

自転車アスリート
低強度トレーニングとインターバルを3群に分けて8週間実施 

低強度, 4回×4分, 4回×8分, 4回×16分

これは4回×8分がダントツで効果大
この「4回×8分」とは90%VO2max相当のトレーニングに該当するとのこと。
つまり、90%VO2maxの累積時間が効果ありと結論付けている。

 

 つづきは気が向いたら書きます。